院長の独り言
Monologue

2012.10.29

活躍できなくても良い

サッカーのカズがフットサルのワールドカップに出て多くの日本人を喜ばせています。とっくにサッカー選手としては終わった選手なのにスポーツ新聞の一面を取っていました。ではなぜカズが人気があるのでしょうか。日本人として初めてブラジルに渡って現在のサッカーの礎を築いたからでしょうか。違うような気がします。ではその活躍にもかかわらず岡田監督の冷たい判断でフランスのワールドカップの直前にメンバーから外されて、判官びいきからでしょうか。これも違うような気がします。
 カズが往年の活躍が出来ないにもかかわらず、年をとっても夢を追い続けて努力を続けているからではないかと私は考えます。
 ノーベル賞をとった山中先生は確かにすごいと思い、同じ日本人として誇りに思いますが、ほとんどの人に取っては自分とは関係ないかけ離れた特別な人です。私を含めて多くの人は日々の単調な仕事をこなすのに精一杯で、飛躍的な活躍は望めない状態です。できればこの世界から抜けだして夢のような世界にバージョンアップしたいと考えても、とても出来そうにはありません。ですから単調でも現在の仕事や育児、家事を続けるしかありません。そこで、カズのように活躍できなくてもサッカーを続けて、毎日努力している姿に自分と重ねて応援したくなるのです。フットサルの様なマイナーな競技でも良いから、一瞬でもカズが輝くところを見て報われた気持ちになるのではないかと思います。カズの様に若いころ大活躍した選手でも、ずっと競技を続けていると現在の様に惨めな姿になってしまうのは当然です。だから、サッカーでも野球でも惨めになる前にやめる選手も多くいます。本人がやる気でも雇ってくれるところがなけれがやめざるをえません。
 我々一般人も日々の仕事に飽きてきて仕事が嫌になったり、活躍できない自分に嫌気がさして別の仕事に転職しようと考えることもありますが、どの仕事についても結果は同じです。活躍できなくてもよい、時にはいい加減でもよい。仕事を続けることが大切なのではないでしょうか。何十年も続けて初めてスペシャリストになって、仕事の面白さが理解できるようになるように思います。「継続は力」とはよく言ったものです。波はありながらもこつこつと続けていくことが最後の勝利者になって、その時こそ輝いた自分に出会えるのではないかと考えています。
 私も息子が後を継いでくれる日を夢見て、もうひと踏ん張りしてみようとカズを見て思いました。