ステイーブジョブズに学ぶ
アップルの創設者のステイーブジョブズが10月に永眠しました。世の中に数々のヒット作品を提供し続けた人でした。最後に彼が作った i Phoneは多くの携帯電話のスタイルを変えて行き、彼の死後もなお拡大し続けることでしょう。
そのステイーブが頭が良かったのは間違いないことですが、独自のアイデアを出し続けることが出来たのは考え方がビルゲイツなどとは異なっていたからではないかと考えます。ビルゲイツはステイーブのアイデアを参考にしてWindowsを確立して巨万の冨を得たわけですが、最初の独自のアイデアはステイーブが考えたものでした。ステイーブは人との比較した相対的な評価ではなく、自分が世の中に出したい絶対的な評価を自分に課していろいろなアイデアを考えたのだと思います。自分の考えに人がどのように違った意見を持とうと関係なく、世の中の人が欲しがりそうな物を常に考えていたのだと思います。自分たちが考えて出来る全ての労力を駆使してコンピューターを作っていったのです。
アップルのコンピューターは全く知識がない人でも操作出来るようになっています。ですからアップルの製品には説明書はありません。適当に使いながら慣れてくださいのスタイルです。私の様な素人にもコンピューターのテクニックを使って欲しいというステイーブの願いがよく分かります。
とかく日本人は自分や自分の考えに周囲の人がどう思っているか気にします。しかし、それを気にしているようではステイーブの様な仕事はできません。人が何と考えようが自分の願いに向かって信念を持って生きてこそ、人には出来ない偉業が出来るのです。我々はステイーブの様な大きな世界で生きている訳ではありませんが、せめてこれだけは自分で成し遂げたいと考える目標を持つことが大切です。
ステイーブが死ぬ数年前にスタンフォード大学でした有名な演説で 「毎日が人生最後の日だと思って生きよ」 という言葉を残してくれました。その言葉の意味は私は次の様に考えます。 「人生最後の日には自分ができる全てのことをやっておきたいと考える。同時にこの短い時間に考えている全ての事は出来ない。無駄と考えるものは削ぎ落として、出来ないことは除外して出来ることだけを効率よく行うことである。」と言っているのではないかと考えました。
人それぞれ環境も能力も異なる訳ですが、それぞれが周囲の批評は気にせずに自分が出来そうな事だけに向かって努力すれば良いのです。他人の花壇が美しく見えても気にすることはありません。自分にしか出来ない長所は誰しも持っているはずですから、それを信じて生きなさいとステイーブは言っているのではないでしょうか。
私自信はここのところ自分の交際範囲を減らしています。あまり多くの人と知り合いになってしまうと人間関係が複雑になって自分の生活が脅かされてしまうからです。また、本業の医師としての仕事に支障が出てくるからです。52歳になって自分の体力の限界を感じることも多々あり、スリムに削ぎ落とした生活を送っています。その中でどうしても自分がやいたいことには集中的にエネルギーをつぎ込むことにしています。無駄を削ぎ落とした機能を一点に集中したのが i Pad やi Phoneではないでしょうか。ステイーブが生み出した製品には彼の哲学が織り込まれているように思います。
今後はアップルはどのようになって行くのか見物です。このままステイーブの哲学に従って独創的な商品を出し続けるか。マイクロソフトの様に商社のような組織になってしまうのか。
私たち日本人は他人の視線を外して生きて行くことは中々できることではありませんが、せめて自分が最も大切にしている仕事においては妥協をせずに自分の信念を貫きたいものです。