東日本大地震で日本人が確認したもの
3月11日の東日本大震災の残した爪痕はあまりにも大きく、未だに日本中がその対応に追われています。宮城県岩手県の津波に遭遇した人々の避難生活は続いていて、仮設住宅に入居出来ない人が沢山います。福島では未だに原発の危機が続いていて避難している人のみならず東京を含めた関東在住の人々は大変な不便を強いられています。日本全体でも大変なハンデイーを背負う事になりました。
その事実の重みは我々日本人一人一人にのしかかってくるのですが、私だけでなくほとんどの日本人が確認した日本の良さがあります。今回はその事に触れて今後の日本の進む方向について考えてみます。
1)まずは、日本人は粘り強く我慢強い。
震災や津波被害にあわれた東北の人は特に我慢強いことがはっきりしました。もともと日本は歴史的に自然災害の多い国で、せっかく作った町が一瞬の自然災害で消えてしまう歴史と戦ってきています。その様な祖先からの遺伝子を引き継いでいるので、外国人に比べたら我慢強いのです。この遺伝的な特性からすると災害や戦後の復興には世界的にも一番適した民族かもしれません。
2)日本人は団結する力が強い。
キリスト教やイスラム教の国々で宗教を一つにして国がまとまりますが、日本人は宗教を通じてまとまるのではなく、このようなピンチの時に国家感が出てきて一つにまとまる遺伝子を持っているのです。多くの若者がボランテイアに駆けつけたり、天皇皇后両陛下が避難所で正座をして被災者の話を一生懸命に聞かれたり、東京が停電になったときには陛下も電気を消して国民と苦しみを共有される姿をみると、この国は本当に天皇から市民まで一つになっているんだなと感じるのは私だけでしょうか。今ひとつ日本国民のナショナリズムがはっきりしない日々が続いていたので、この震災後の国民の対応を見て日本人の愛国心が分かりました。また普段は地味でも皇室の役割はあるんだなと感じました。
3)日本人は非常に賢くて知識レベルが高くなった。
福島原発事故後の政府の対応は後手後手でしたが、それでも日本人はパニックになりませんでした。オイルショックでトイレットペーパーを買いだめする日本人の姿を見ている私は、今回の日本人の一人一人の冷静な対応にはインテリジェンスを感じました。多少は心ない人もいましたが多くの国民は良心のもとに優しく冷静に対処している事は、最近文化が進んで日本人の精神性に疑問を持っていた人もいたと思いますが、何の心配もないことがはっきりしました。この知的な対応をしていれば必ず日本は復興するし、20年後には少子高齢化にも十分に対応した世界的に先進的な国になっていることを予感させました。ただ政治は今のところお粗末ですが、これもやがて改善されるでしょう。
4)日本の企業戦士の責任感の強さは凄い。
福島原発では何百人の企業戦士が原発の事故後の処理に対応しています。現在では東京電力のみならず、日立や東芝、ゼネコンなどの精鋭部隊が自分の放射能に被爆する危険を恐れずに24時間体制で復旧に当たっています。このことが日本人にパニックを起こさせない大きな要素であることは間違いありません。この人たちが頑張っているのにもっと良い環境で暮らしている多くの国民がパニックを起こす訳にはいきません。日本人の忠臣蔵的な強い責任感のなせる技です。
まだまだ沢山の日本人の良さがあると思いますがこの辺にしておきます。ここ20年のバブル崩壊後の日本人は、日本に生まれて育ったことにたいする誇りも持てなければアイデンテイテイーも持てずにいました。何か都合が悪い事が起こるとお上や政治家の性にして逃げていたように思います。この震災は大変不幸な結果をもたらしましたが、これをきっかけに日本を見直して立ち直るチャンスを神様がくれたのかもしれません。私の個人的な数少ない経験からしてもピンチを乗り越える為にした努力は、自分を大変大きくしてくれます。また、そのことから立ち直ったという自信は新たな創造の源になります。災害にあったことをくよくよしても町は元には戻りません。これから日本は耐えて頑張るだけではなくて、他国に先駆けて創造性をもって新しい国造りをしなければいけません。日本は島国で古来から新しい技術を独創的に創造してきた歴史がありません。いずれも西洋諸国や中国から輸入した技術をアレンジさせて発展してきた国ですが、これからは自然災害対策、新しいエネルギーの開発、高齢化、地域の過疎化など山積した問題に対応してみんなが幸福感を持てるような国にしなければなりません。必ずや震災から復興してあの東日本大震災が日本が良くなった一つのターニングポイントだったねと後世で言われるようにしたいものです。
日本人が風評に左右されることなく、今自分に出来ることを確実に一生懸命に成し遂げて行ったその先に、復興した素晴らしい未来の日本が待っていると信じています。