院長の独り言
Monologue

2010.7.30

出雲大社での参拝

先週漢方の師匠の寺澤先生が島根大学医学部の授業に来られたので、いつものように出雲大社に案内しました。今年は出雲大社に詳しい人が案内してくれて正式な参拝を行いました。そこでの案内してくれた人の話がとても良い話だったのでご紹介します。
 その人曰く 「 出雲大社には旧暦の10月に全国の神々がすべて集まって次の年の人々のご縁を決めると言われています。出雲大社に参拝する時は自分の将来の成功についてお願いしてはだめですよ。 神様に今年の数々のご縁に対してお礼を言って、感謝をするのですよ。それが出雲大社に参拝する際の礼儀ですよ 」
 私は我に帰りました。私も含めて多くの人は神頼みの際に沢山のお願い事をします。子供の受験、家族の健康、事業の成功、恋愛の成功など数限りがありません。しかし、何の感謝の気持ちも表さないでいても、神様は多くの人の願いをいちいち覚えているはずもありません。まずは今の自分のご縁に対して感謝申し上げるのが日本の心であるのでしょう。
 日常の生活でも同じようなことがいえます。最近の日本人は権利意識が強くなって、義務はろくろく果たさないで要求ばかりしていませんか。人間はほっておけば他の哺乳動物と同じように自分勝手に行動するものです。だけど人間には知恵があっていろいろな規則があったり、思いやりの心を持って他人に感謝することを人間関係の潤滑油にしてきました。特に日本人は「粋な生き方」を美しいと思う民族で、茶道なのどの作法にも相手への思いやりや感謝の気持ちを表す動作が仕組まれています。世界の経済の中では、日本の粋なおもてなしの良さを取り入れようとしている企業もあり、注目され始めているところです。
 目先の要求は一時考えずに、出雲大社にならって今の全ての状況に感謝してみませんか。たとえ自分が不幸のどん底にあると思っていても、何か感謝しなくてはいけない人や状況は一つや二つあるはずですよ。その感謝の気持ちがあれば、新しい良いご縁がきっと現れてくるはずです。
 私は自分の漢方の師匠を出雲大社に毎年お連れいていますが、今回このことを気づかせてくれたご縁に対して大いなる感謝の気持ちを持つことができました。あれから日々の生活がかなり楽になりました。見方をかえるだけでこんなにも精神が変わるものかと思います。
 皆さんも是非、不平不満を言う前に自分を支えてくれている家族や同僚、社会全体に感謝してみませんか。日本人らしい粋な生き方ができると思います。