名将野村克也が止めた
楽天イーグルスを応援して4年が経ちました。4年前に野村克也が監督に就任してこの人なら楽天を強くしてくれそうな気がして仙台市民でもないのにずっと応援してきました。今年はクライマックスシリーズまで最高の試合をしてくれて、もう少しで日本シリーズに出場するところでした。野村監督の日々の指導には沢山の参考になることがありますが、彼がすべての試合が終わって最も自分で成し得たことは何ですかとの問いに答えた言葉がとても気に入りました。「実績を残すにはいろいろあり、たとえば財産をのこすことや名を残すなど。自分は楽天の選手を育てて人を残した。この事は自分が最も重きをおいたことでした、そのことには満足しています。」との答えでした。野村監督らしい言葉だと思いました。長嶋茂雄や王貞治は国民的な英雄で名誉も地位も残して野球界の歴史に名を刻んでいますが、人材を残したかというと疑問が残ります。野村監督はヤクルト時代に弱小球団を日本一に導く際に、最近の巨人の投手コーチの尾花コーチ(来年は横浜の監督)古田捕手など多くの名選手や指導者を育てています。楽天でも中日を見捨てられた山崎をホームラン王に再生し、岩隈投手、田中まーくんなど多くの選手を一流に育て、多くの二流選手でも活躍できるようにしている。
やってみると分かりますが、自分自身が活躍するよりも人を育てるのはかなり難しことです。自分自身の活躍は自分さえ努力すれば良いし、我慢する時は自分だけ戒めれば良いのですが、別々の道を歩んできた他人を育てるには卓越した忍耐力と指導の技術と愛情が必要となってきます。
当院は10月で開院10年を迎えましたが、私自身や職員も患者さんに育てられた気がしますし、患者さんも我々によって育てられているような気がします。当院に通院している患者さんは新患も含めてとてもマナーが良くて、1時間待たせても文句を言う人はいません。少し手違いがあった時にもこちらが謝ると、笑って許してくれます。どこにも自慢のできる患者層です。時々他院の患者さんが予防注射をかかりつけでしてもらえずに、当院に来られることがありますが見た瞬間すぐに分かります。私はこのような環境で医療が行えることを誇りに思います。職員や患者さんに接する態度を今まで以上に真摯に接するように心がけなくてはと思います。元々そんなに勤勉でない私にとって、患者さんのやさしさは何よりの励みになります。医療はやはり気が通わないと道を貫けません。他人を責める前にまずは自分から人にやさしくしてみませんか。その後に自分が誠心誠意付き合っていける人かどうか決めれば良いと思います。
野村克也監督の最後の言葉を聞いて人を育てることの大切さを新たに認識しました。
追伸:先の民主党の事業仕分けて漢方薬の医療保険からの削除の方向が出されました。人にやさしいはずのマニフェストはどこに行ったのでしょうか。漢方薬を推進するとマニフェストに書いてありますが、その約束はどこに行ったのでしょうか。コンクリートから人へとの言葉を信じて投票した我々の思いはどうしたら良いのでしょうか。このままでは確かにコンクリートはなくなりますが、人もなくなってしまいます。残るのは民主党の一部のマニフェストにたいする意地だけです。我々日本東洋医学会では反対の署名運動を始めました。当院来られた際には窓口に署名用紙が置いてありますので、署名をして頂ければ幸いです。