院長の独り言
Monologue

2007.1.3

笑う門には福来たる

あけましておめでとうございます。
 本年最初の独り言です。最近、東京の任意団体が笑い療法士なる資格を作っています。いわゆるお笑いタレントのようなネタを話すのではなく、病気になった人に笑顔を与えてあげるようなことのようです。私は、以前から笑うということはとても体に良いことだと考えています。外来でも、患者さんに笑顔を取り戻してあげたいと考えて仕事をしています。ただ、ダジャレを言っても誰も笑ってくれません。病気になって苦しんで来ているわけですから、本来なら笑顔が出る訳はありません。最も大切なのは病気に対して前向きに病気を治す展望を示してあげることが大切です。それにはその人の話をよく聞いて、病気を解明したり、病気に影響する性格もある程度見抜けなくては、患者さんは笑顔を投げかけてくれません。一生懸命頑張っても報われないことは多くありますが、先生と話をしていると気が楽になるなどと言ってもらえるとその瞬間、医者をやっていて良かったと思います。
 おもしろいデータがあります。以前日本医大のリウマチの専門医が落語を聞く前と聞いた後の患者さんのリウマチの炎症の指標となるIL-6という血液検査を行ったところ、落語を聞いた後の方がIL-6が低下して痛みが少なくなったとのことでした。笑いが免疫力や精神的なストレスの良いことはいろいろな人がデータを示しています。ただ、患者さんを心の底から笑わせるにはどうしたら良いか難しい問題です。
 家庭で妻の機嫌が悪くなった時も同じですが、いろいろ手を尽くしても無駄な抵抗になることが多いのですが、話を聞いてあげて妻の身になって考えてみる様にしているとある瞬間から機嫌が良くなります。患者さんとの接し方とよく似ています。仕事でも家庭でも気を抜かずに人に接する事が大切なのですね。