2006.9.12
漢方薬はどうやって作られたか
漢方薬は、中国のいろいろな部族で考えられていた病気に効果のある生薬の組み合わせを約2000年前にまとめられたのが始まりです。
最も有名な葛根湯はその頃から作られたもので、私たちは約2000年の間に築き上げてきたすばらしい漢方薬の薬理学を利用しているだけです。
葛根湯を例にして説明するとすばらしい生薬の構成になっています。葛根湯は主にかぜや気管支炎などに使用することが多いと思いますが、麻黄と葛根が主な構成生薬です。その二つは発汗作用があり、患者さんに汗を出させて解熱するように作用しますが、麻黄は特に強い作用があり胃をこわすことがあります。この二つはサッカーにたとえるとフォワードです。攻める生薬です。そこでこの二つの攻撃性を和らげるデイフェンスの働きをする生薬が必要となってきます。それが生姜(しょうが)と芍薬と大棗(なつめ)と甘草です。この4つは胃腸を整える働きや緊張した筋肉を和らげる作用があります。攻撃性の生薬とうまく調和をとって縁の下の力もちの様に働く生薬です。桂枝(シナモン)は攻撃にも守備にも加わりミッドフィルダーの様な働きをします。葛根湯が最も有名な漢方薬であるのはこのようにすばらしいバランスを考えて作られているからです。
何か人間社会と共通点があるように思いませんか。繁栄している会社などの組織は、必ず攻守のバランスのとれた人員配置になっています。もちろん家族もそうです。一人のスターの陰には必ずすばらしいマネージャーがいるはずです。小生も一人の人間として漢方薬の成り立ちに学ぶべき点は多いのです。一生勉強です。