過去現在未来
人は誰でも罪を犯します。言ってはいけないことをつい口走ってしまったり、やってはいけないことをやってしまったりします。そして、そのことは決して消えることはありません。言ってはいけないことを言って相手に突き刺さった言葉は、相手の心の中に長い間残ってしまいます。いけない行為をした過去も決して消えることはありません。
それでも人はたくましく生きて行かなくてはいけません。普段の生活から逃げることはできないのです。だから今現在の生活の中で言葉は慎重に選んで、謹んで行動をすることが大切になってくるのです。私でいえば、毎日の診察の中で患者さんと会話をする一言一言にそのことを考えて話をする必要があります。そして、何か大きな病気を疑って行う検査にも細心の注意を払う必要があります。医師にとっては患者さんへの説明能力と診断と治療の技術の能力が必要となってきます。人間だから100%正しい能力は難しくて、どうしても過去に後悔を残してしまいます。
過去は変えられないが未来を変えることはできるとよく言われます。人間である限り不完全なところをもっているので100%正しい未来を創ることはできませんが、少なくとも悪いと反省した過去よりは進化することはできます。今まで日本人はこの考え方で民度を高めていったのだと思います。
これからAIを使うことによって100%に近い正しい確率を求められる時代が来ると思います。誰しも罪を犯すが、正しい方向に向かおうとする人間らしい今までの日本人のやり方とAIを駆使した100%を求めるやり方のせめぎあいがすでに始まったと感じています。12月からマイナンバー保険証が義務化になって政府はAIを駆使して国民の健康やお金を管理しようとしています。今まで国民の民度と医療関係者の努力で世界一の平均寿命を誇ってきた日本の医療の良さがAIの関与によって失われないようにして欲しいと願っています。
AIによって時代は大きく変わっていく中で、私たちが出来ることは、毎日過去を反省して少しでも良き未来に向かえるように現在をもがきながら一生懸命に生きて行くことではないでしょうか。