院長の独り言
Monologue

2023.11.28

山下美夢有選手が今年も賞金王になりました。

 昨年11月の院長の独り言でプロゴルファーが山下美夢有選手が賞金王になり、その立派な人間性について書きました。昨年はひたむきな努力と勢いで勝った試合が多くて、本当の勝負は今年だと思っていました。

 11月23日~26日のリコーカップが最終の一番大きな大会で昨年も優勝していますが、その前に賞金王が決まっていて少し気楽な戦いでした。今年は賞金ポイントが1位でしたが、2位のシンジエとはごくわずかな差で、このリコーカップで負ければ逆転される状態でした。そこで彼女がどのような戦い方をするのか楽しみに観戦していました。

 1日目はシンジエと同じ順位の4位で、2日目はシンジエと同じ組でラウンドして3打差をつけて2位まで順位を上げました。終了後のコメントがベテランのシンジエさんと回って大変勉強になりましたとコメントをしています。3日目に逆転して2打差の首位に立ちました。それでも本来のゴルフではありませんでしたが、常に攻めてたゴルフをしていました。最終日は、前半で失敗して逆転されてしまいましたが、後半も常にピンを狙って積極的なゴルフをして再び逆転して3打差をつけて優勝して、2年連続の賞金王になって昨年がフロックではないことを証明しました。

 私が最も彼女を評価するのは、普通の選手は最後に勝ちたくて安全なところに打っていきます。ところが山下選手は最後までドライバーを振り切って、グリーン上のピンを安全策ではなくて果敢に危険な場所へ挑んでいきました。最後のパットも寄せるのではなくて入れに行ってオーバーしました。

 このことは何を意味するのか考えてみると、おそらくこの試合で勝って賞金王になることよりも彼女にとって大切なことは、この緊迫した場面で経験できる真のショットの追求ではないでしょうか。この先にアメリカで活躍するために、日本で勝った負けたの小さなことではなくて、正確なゴルフへの挑戦であると私は感じました。例えこの試合で真のゴルフの追求をして負けたとしても悔いがなかったのではないでしょうか。

 小さいころからプロゴルファーになるためにスケートやバレーをやって体幹を鍛えて、時には一日10時間もの練習をお父さんと一緒におこなって、メンタルも鍛えて謙虚な姿勢も教えられて、ゴルフ一筋に歩んで現在も毎日毎日ゴルフが上手くなるための生活が、この2連覇につながっていると思われます。

 その姿勢はまさに大谷翔平とつながるものがあります。大谷選手もアメリカのどこに遠征に行っても、観光など野球以外はなにもせずに、ただひたすら野球がうまくなることだけを考えているそうです。

 多くの活躍している人は、他人との比較において勝ち負けを優先してしまいがちで、そこからさらなる進歩を目指さない結果、短い活躍の期間で終わってしまうことが多くあります。山下選手も大谷選手も他の選手のことはどうでもよくて、自分が絶対的に上達することを考えていて、だからこそこの先さらにどうなっていくのかファンをワクワクさせてくれるのです。

 それぞれのおかれている立場で、ライバルとの比較ではなくて絶対的にさらなる進化を目指して、より一層の努力を重ねたいものです。