院長の独り言
Monologue

2023.10.29

ソフトバンクや巨人が弱くなったわけ

 今年のプロ野球は、オリックスと阪神が優勝して現在日本シリーズで日本一を決める戦いをしています。ソフトバンク、巨人、中日が目に見えて弱くなっています。その原因を探ってみました。もちろん戦力的な分析が一番ですが、球団の運営やゲームでの采配においてこの3球団には大きな失策があります。

 まずはソフトバンクですが、ここは世界の王貞治さんが大きな力を持っていて、彼の鶴の一声で監督やコーチが決まったり、選手の採用も決ります。さらにオーナーの孫正義さんも王さんに負けず劣らずの負けず嫌いで、かつての巨人のように巨額のお金を使って有名選手を集めて絶対に優勝することを宿命にしています。先月の独り言で述べたように、王さん孫さんを中心とした天動説の上に組織が形成されていて、おそらくコーチや監督はイエスマンに徹していて、王さんを見て野球をやっている感じがします。工藤監督から藤本監督に代わって結果が出なくて2年で首になりました。

 巨人は17年間監督を務めた原辰徳さんが監督をしていて、全権監督といって何でも自分ですべてのことを決めることが出来る権利を与えられていました。若いころ原さんはもっと民主的な人でしたが、晩年を見ていると逆らったコーチを左遷させたり、気に入らない選手をトレードに出しています。ヤクルトの田口選手のようにトレードに出されて活躍している選手が沢山います。桑田真澄コーチは投手コーチの時に、あまりにも場当たり的な采配で選手が苦しんでいるのを見かねて意見をしたところ、嫌われて二軍に左遷されました。当然のようにコーチや選手は相手の選手を見るのではなくて、原監督を見て野球をやっていて、勝てるわけがありません。

 中日の立浪和義監督もしかりです。逆らった打撃コーチ首にしたり、嫌いな選手をトレードに出して他球団で活躍されたいます。

 それに比べて、トヨタの豊田会長は立派です。自分の息子を社長にするのではなくて、平の執行役員であった佐藤恒治さんを社長にして自分は会長に退いています。佐藤さんは技術畑を歩んできた人で、豊田会長にとって豊田家の繁栄よりも、良い車を作るにはどんな人事が良いのかを考えたのでしょう。多分、周囲にイエスマンばかりを置かずに、いろいろな意見を忌憚なくいってくれる人を周囲において、トヨタがどうしたら発展するのかをみんなで考えていたのでしょう。

 世の中には会社や行政などの組織において、このような例は沢山あります。他の業界から意気揚々と市長や町長になって、自分が今までやってきた世界の成功体験をもとにして部下の行政マンの意見は全く聞かずに、人に頭を下げることもしないで行政が行き詰まることは世の中に沢山あります。少し賢い人なら、軌道修正して最後の方には良い首長になる人もいますがそれは稀な例です。

 どんなに優れた人でも常に自分の思い通りにトップマネージメントができるありません。末端に至るまでの意見を集約して、反対意見も十分に考慮して、最後の最後に自分で決断できる人のみがトップに立つ資格があるのだと私は考えます。特に創業家を代々つないできている会社や組織のトップはイエスマンばかり周囲に置かずに、厳しい意見を言ってくれる職員を大事にしないと組織が崩壊する時代に入ってきたのだと最近特に感じるようになりました。 

 私自身も来年長男がクリニックに帰ってきてくれますが、親子でこのことをよく考えていくことが大切だと思っています。