院長の独り言
Monologue

2023.7.29

大谷翔平のごみ拾い

 14年前の冬に久しぶりに剣道をしていきなり左のアキレス腱を切りました。土曜日の夕方に切って、月曜日は固定したまま診察をして、県中の手術室が空いたとの連絡があって昼に手術をして午後だけ休診にして、火曜日の朝早くに退院して診察に穴を空けずに済みました。それ以来ゴルフが上手くいかずに今日まで来ています。ベストスコアは79で90以上を叩くことはありませんでしたが、それ以来100が切れなくなってやっと最近90台をキープできるくらいに回復しています。今年64歳になるので、距離も出なくなっていますが、何とかマネージメントでカバーしています。

 ゴルフでは芝生の上でボールを打って芝生に穴があきます。それをデイボットと呼んでいて、本来なら作った人が砂で修復するのがマナーですが、それを直す人はほとんどいません。プロのトーナメントではキャデイーがやりますが、普通のゴルフ場でやっている人を見たことがありません。1か月前に思いついて、プレー中に山ほど砂を持って歩いて、自分の作ったもの以外の他人が作ったデイボットをすべて直して歩きました。いつもは迷いながら球を打って失敗することが多いのですが、デイボットを直してゴルフ場を大事にする気持ちを持ったためかショットに迷いがなくなって、前半はほとんど失敗がなくて36ハーフを39で回ることが出来ました。後半は体力が少し落ちて44で回って合計のスコアが83で、アキレス腱を切ってからベストのスコアが出たのです。

 このことは何を意味するのか考えてみました。ゴルフは自分との戦いですが、同伴者を思いやる気持ちやゴルフ道具やゴルフ場をいたわる気持ちがなくては上手になれないことの証明だと思いました。私のゴルフの師匠である佐伯三貴プロが、そのことを厳しく教えてくれますが、本当にその通りだと実感しました。

 あの大谷翔平が自分の目標シートを作って、その中で運をつかむためにゴミを拾う、挨拶をする、道具を大切にする、審判に対して良い態度をとるなどと書いています。特にゴミについては、花巻東の佐々木洋監督に「ごみは人が落とした運。ごみを拾うことは運を拾うこと。そして自分自身にツキを呼ぶんだ。」と教えたそうです。佐々木監督も偉いが、それをこんなに大選手になっても高校時代の監督の教えを守って運を呼び込んでいる大谷選手も素晴らしいです。

 他人が作ったデイボットを直すこと、他人が落としたごみを拾うことはいずれもしなくても何の問題もありませんが、そのようなことを他にもすることによって、運を拾い徳を積むことが出来るのだと思います。簡単なことをなんでも良いので、一日に一つでも社会のためになることをしてみませんか。まわりまわって自分が幸せになる道につながるのではないでしょうか。