院長の独り言
Monologue

2022.11.24

2022年女子プロゴルフ賞金女王「山下美夢有」の素晴らしさ

 私の唯一の趣味がゴルフで、毎週日曜日にはゴルフに行くか学会出張に出かけます。ゴルフの腕前は全然ダメで、地元の笹山麻紀プロにレッスン料を払って毎回スコアをつけずに回っています。時々広島の佐伯三貴プロも教えに来てくれます。私のような素人は毎回違うスイングになりがちでそれでスコアがまとまりません。スイングの各場面でのチェックポイントがありますが、それを考えていてはスイング出来ません。いかに同じようにボールにクラブヘッドを入れるかの再現性を追求するスポーツなのです。

 実はこの再現性という言葉に私はひかれています。私は診療でほぼ漢方薬を使って病気を治していきます。西洋薬の様にマニュアルがなく、本を読んでも学会で他人の話を聞いても、再現性についてきちんと語ってくれる人はいません。日々患者さんの症状を治癒していく中で、自分なりの再現性のキーワードを見つけながら診療をしています。やっていくうちに年々精度が高まってきて、講演で話をしてもリピーターが増えてきています。ゴルフと漢方は一見全く別のジャンルですが、私なりに再現性の追求においては一貫性があるのです。

 女子ゴルフの2022年の賞金女王に山下美夢有(やましたみゆう)さんが21歳と数か月の最年少記録でなりました。150cmという小さな体で、心技体すべて備わった素晴らしいプレーヤーです。かつての女王で辛口の樋口久子が山下のことを「やっぱりオールラウンドプレーヤーだと思います。山下さんの態度はスポーツマンらしくて好きです。ハキハキしていて、一生懸命プレ―していて人に不快感を与えないですね。」と人柄に好感を明かした。また、最後の伊藤園レデイース優勝した時のインタビューで大会主催の伊藤園の「おーいお茶」のロゴがカメラに見えるように持って受け答えしたのが素晴らしいとネット上で評判になっています。

 最近の女子ゴルフの賞金女王は沢山いますが、山下選手の様に人格的に素晴らしい選手は私の記憶では見当たりませんでした。ですから近年では女王になっても、ただゴルフが1年間たまたま上手くなったというだけで、人から尊敬されることもなく短命の女王で終わってしまうことが多かったと思います。

 この山下選手は少しばかり私と縁があります。今年の3月ころ両親が当院に来院されて、その時に山下選手のことを知らずにプロゴルファーの娘さんにと漢方的なアドバイスをしました。お父さんは彼女が小さな頃からコーチをしていて自分はゴルフは上手ではないけれども、娘は自分の言うことは何でもきくというのです。お母さんは常に娘のツアーに同行してラウンドもついて歩くというのです。家族一体となってのゴルフなのです。しかも私のいうこともきちんと聞き入れてくださって、夏ころに何回か優勝した時にお礼に来てくださいました。両親ともに来院されて、二人ともその後もきちんと体の管理をしておられます。ここまで来るには相当の苦労があったことは推察できます。賞金女王になった直後にお父様にお祝いのメールをしたところ「皆様のお陰で賞金女王になることができました」と極めて謙虚な返事がすぐに返ってきました。

 山下美夢有選手は不動裕理以来の心技体がそろった真の女王になると私は確信しています。多くの成功者が長く続かずに短命に終わるのは、心技体の心の部分が十分に成熟していなくて、技術と体力の部分だけで一瞬成功しただけなのに、謙虚な気持ちを忘れて永遠のテーマである再現性を追求しないからだと考えます。私も毎日全国から体調の改善を求めて来院されます。それぞれの症状の治療の再現性を追求していくことが私の使命であります。治しにくい症状が次々に現れる限り、そして山下選手の様に謙虚でいることが出来るなら、進化し続けることが出来ると考えています。