院長の独り言
Monologue

2022.7.30

綾瀬はるかの覚悟に学ぶ

最近の当院へ新しく受診される患者さんの傾向で、約半分が次回からの通院が不可能な場所から来られています。次回からは保険外で煎じ薬を送ることになります。ですからその人を診察するのはその日が最初で最後となるのです。わずかな時間でその人の体質を見極めて最も適切な処方をしなくてはいけません。考えられる副作用も説明して、守ってもらうことをしっかりと説明して同意してもらいます。この一瞬の自分の判断が患者さんのこれからの健康を左右すると考えると怖くなることがあります。これが最後と考えて仕事をして成功をおさめた人がいます。

 女優の綾瀬はるかです。彼女が主演するドラマはほぼヒットします。少なくても作家が考える以上の仕事をしてくれます。ある一定の役柄のみでなくて、どんな役にでも自分を作り、変えて見事に演じ切ってくれます。

 そんな彼女が2度だけこの作品を最後に女優を辞めても良いと思った作品があると語っています。大河ドラマ「八重の桜」と「世界の中心で愛をさけぶ」だそうです。後者の作品では白血病の役に合わせて7kg減量して髪をすべて剃って望んで、私たちに迫真の演技を提供してくれました。

 みんなが一生懸命に頑張っています。でも結果が出る人もいれば残念ながら出ない人もいます。その差はどこにあるのでしょうか。綾瀬はるかの様に一つ一つの作品に白紙で臨み、今までの自分の経験を活かしながらもさらに新しくて良い演技が出来ないかと常に考えて、試行錯誤を繰り返す中で本物を目指すその姿勢が成功をもたらしていると考えます。

 私自身が日々の診療の中で常に結果を求められています。これが最後かもしれないと思うその緊張感こそが、私の技術を高める方向にもっていってくれています。遠くから2年も待って来院されて、がっかりさせる診察は認められません。現在のようなネットで情報が広がる時代で、良い情報も悪い情報も一瞬で広がります。これでだめになるかもしれないという緊張感の中にいて、しかも短時間で診察を終えなければいけません。そんな厳しい時間を毎日過ごしています。

 ただ一生懸命に努力することは誰でも出来ます。これで終わるかもしれないという覚悟を持って常に最善の方法を模索する姿勢を備えている人に成功者が多いと考えています。