2022.6.29
みんなちがって、みんないい
先日、古くからの患者さんに「先生は変な人だけど、私たち患者にとってはとても良いところがあるわ」と言われました。その言葉の意味は、「医師としてはとても型破りでかなり標準から外れているけれども、長所もあって患者さんにとっては有益なところもある」ということなのでしょう。その人もとても型破りな患者さんで、ずばずばと私に意見を言ってくれてとても参考になりました。
金子みすずの「私と小鳥と鈴と」と いう詩を思い出しました。
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地べたを速く走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな歌は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
金子みすずの代表作ですが、患者さんが私を批評してくれたことと同じ意味であると思います。
私たちはこの世に生まれて長く生きている間に、それぞれ特徴が出来てきます。短所は別の見方をすると長所となります。社交的でない人も慎重であるという見方となるし、優柔不断な人は優しさがあります。
私に関しては、はっきりと真実を患者さんに話すことにしているので、時に傷つけることはあるかもしれませんが、真実を追求する医療においては、長い目で見ると要求に応えやすくなります。
人と違っているからといって悲観してはいけません。人と違っているからこそ自分の存在価値があって、生きて行くうえでそれぞれの役割があるのです。今おかれている場所で、自分が出来ることをすればよいのです。他人は他人、自分は自分です。
「みんなちがって、みんないい。」なんとうれしい言葉でしょうか。