院長の独り言
Monologue

2021.10.28

徳川家康が成功した長生きの秘訣

先月はマオウという攻めの漢方薬についてお話しましたので、今月は人間の体を病気から守って長生きにつながる漢方薬を紹介します。
 徳川家康は40歳代が寿命であった戦国時代に75歳まで生きて、ライバルの豊臣秀吉が62歳でなくなって天下を取っています。15代の徳川将軍で70歳以上まで生きたのは15代の慶喜との二人だけです。家康は当時の薬学の本を読んで自分で漢方薬を調合していたのです。つまり、侍としても一流でしたが、薬剤師としてもとても優秀でした。各大名や公家にも調合を教えていたようです。さらに駿府へ隠居してからは薬草園を作って自分で栽培していました。また、食べすぎ飲みすぎに注意し、バランスのよい食事と十分な睡眠をとって、年をとってもボケ防止のために薬草の調合も自分で行い、鷹狩りで体力の低下をぼうししていたようです。江戸幕府になってほとんどの将軍が家康のやり方を踏襲せずに早死にしているのは、平和ボケの結果なのでしょうか。
 その家康が内服していた薬が現代でも使われている八味地黄丸(八味丸)に数種類の生薬を加えたものなのです。この八味地黄丸こそが私が考える唯一の長生きの薬です。漢方の五臓論の中で、腎が衰えると死に近ずくと言われています。漢方の腎とは今でいう副腎などのホルモンの分泌と考えられています。副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)、男性ホルモン、女性ホルモン、成長ホルモンなど臓器から血管内に分泌される大切な役割を果たしている物質です。加齢とともに分泌が減って元気がなくなってきたり、肌が老化したり、男性機能が衰えたり、生きて行く上での様々な機能が衰えてきます。腎は補うことが難しく、衰える一方なのです。
 そこでこの八味地黄丸は少しでもその老化現象を小さくしてくれると言われています。家康は16人もの子供がいましたので、その腎の機能は若いころの状態が長く保たれていたのでしょう。
 八味地黄丸は八つの生薬から構成されていて、地黄(じおう)山茱萸(さんしゅゆ)山薬(さんやく)沢瀉T(たくしゃ)茯苓(ぶくりょう)牡丹皮(ぼたんぴ)桂皮(けいひ)附子(ぶし)がその成分です。地黄は皮膚や血液に効果を発揮し、山茱萸、山薬は目によくて、山薬は山芋のことですが精力が増すと言われていて、沢瀉と茯苓は利尿剤です。牡丹皮は血の巡りをよくして、桂皮は気の巡りを改善して、附子はトリカブトのことで猛毒ですが熱処理をすると冷えをとって痛みも抑えてくれて、強心作用もあります。無毒化してないブシを飲むと附子中毒となって顔面の神経麻痺となって何とも言えない醜い顔になるので、ブシからブスという発音に変化していったようです。
  このように八味地黄丸は慢性疾患や慢性の訴えの多くの状態を改善するようになっています。私が考える長生きの秘訣は腹八分目の食事を守って、炭水化物にばかり頼った食事ではなくタンパク質をしっかり摂取して、睡眠を出来れば7時間くらいとって、酒も少しにしてストレスを少なくして、毎年人間ドックを受けて、八味地黄丸をかかりつけ医で処方してもらって内服すれば、かなりの確率で寿命が延びると考えています。19歳の時に47歳の父親を亡くしている私が心がけている健康法です。皆さんも参考にしてください。