院長の独り言
Monologue

2019.3.3

ルビーのいちごを知っていますか

先日東京に出張した際に、患者さんとして来院された若い経営者と一緒に食事をしました。そこで診察の帰りに出雲市斐川町にある吉岡製菓の「リビーのいちご」というお菓子を2万円分お土産に買って帰ったというのです。そのルビーのいちごは東京で有名になっていて、Yahooの通信販売でもなかなか手に入りにくいというのです。
 そのルビーのいちごを作ったのはその会社の専務で吉岡洸28歳で、中学生の頃からアトピー性皮膚炎や風邪などでずっと私が診察して、洸と呼び捨てにして可愛がっている若者です。自分がアトピーであったためなのか、ルビーのいちごには卵、や小麦や牛乳は使ってないと記載してあります。あの洸が大変なヒット商品を作ったものだと嬉しく思い、本日は洸の紹介から話を展開して行きたいと思います。
 洸が当院に来院しだしたのは中学2年の頃からです。斐川東中学でテニス部に所属していて、私の長男が島根大学付属中学の1年生でテニスをやっていると診察の時に彼に話したところ、両校の練習試合で息子に声をかけてくれて「何か困ったことがあったら俺に言ってこいよ。力になるから」と言ってくれたのを今でも覚えています。彼はその後出雲工業高校に進学したところを見ると勉強は苦手だったのだと思います。しかし、すぐに息子に声をかけてくれるスピード感を持っていて、私とフレンドリーに話ができる社交性を持ち合わせ、自分に頼って来いという包容力備わっていました。それから当院の職員とも親しくなれていました。義理堅いところがあって、当院が休みの時に風邪をひいて熱が出た時には、よその医院にはいかずに休み明けを待って受診してくれました。
 そんな洸のことを私はとてもかわいく思っていますが、何せ頭が悪そうだし少しヤンキーかかっている感じだし、甘えん坊だし世の中で活躍できるのか少し不安でした。高校卒業後に自分の親が経営する吉岡製菓に入社して、付き合っていた女性とすぐに結婚して子供も早く授かっていました。
 その後のことは最近聞いた話なのですが、自分が失敗を重ねながら最高のお菓子を目指してルビーのいちごを作って、いちごが足りなくなったら、四国のいちご農家に飛び込みで乗り込んで気に入ってもらって多くの良質のいちごを確保したようです。また、Yahooのネット販売に出店して成功すると、東京の高島屋や三越などの百貨店の食品担当の人と交渉をして、スポットで販売できるまでになり、やがては店舗スペースを確保してルビーのいちごなどを売る展開に持ち込めそうだとのことです。来る3月19日から1週間新宿高島屋でスポットで販売をするようです。
 もう一人出雲に前途有望な若者がいます。コクヨーというシジミのパック販売やシジミ製品、干しいも(ダイエット食品)を製造販売している会社の専務で原嘉緒君です。彼も二代目で父親が始めてやや傾きかけた会社をアイデアと行動力で見事に立ち直らせた人物です。吉岡洸のことを随分と可愛がっているようで、お互いに通ずるものがあるのだとおもいます。ここの会社の食品はよくもらうので、自宅にもって帰ったり職員みんなで頂いたりしていますが、大変健康的でダイエットにも適した食品です。
 吉岡洸や最近私が付き合っている若手の経営者の特徴を見てみると、彼らはまず良い光る眼をもっていてスピード感があります。。さらに社交性と話術を学生時代に何らかの形でみに着けていて、義理堅く嘘をつきません。また、人を学歴や家柄などの固定観念で評価せずに、その人のありのままの人間性を見て仕事をしている感じがします。まず、大学はどこを出ていますかなどのくだらない質問はしない。質問があるのは常に未来志向の話ばかりで、今年還暦を迎える私にはとても心地の良いひと時なのであります。
 学歴などというものは自分の過去の歴史であって役に立たず、、その後どのような苦労を重ねていって、その苦労の中からどのようにして脱出したのかが大切です。自分のやっている仕事が人々の笑顔を生むことが出来るのかどうかを考えることの出来る人間が成功するのではないかと、私は彼らから学ぶことが出来ました。
 一つだけ彼らに年寄りの私からアドバイスがあるとすれば、困難に立ち向かう時は大きなパワーを生んで成功につながるが、仕事が順調で追い風の時ほど落とし穴があることを忘れないでほしいのです。そのことさえ守っていけば、まだまだ彼らは素晴らしい進化をとげていくことでしょう。