院長の独り言
Monologue

2018.7.1

栄枯盛衰はなぜ起こる

栄枯盛衰は世の常で、人は繁栄したり衰退したりを繰り返します。繁栄するにはその人の努力が実ったりとか運がよかったとか周囲の人に恵まれたりとか色々と理由ははっきりするのですが、衰える原因は少なくともその時にははっきりわかりません。まさかあの組織がこんなになるとはと思ったことはあると思います。
 繁栄したいなら先を読んで人に頭を下げてひたすら努力を重ねて行けば結構な確率で成功するものです。学校の成績が悪い良いは関係ありません。むしろ勉強が出来なかった人のほうが会社を興して社長になっている人が多いようにも思います。それは有名大学に入った時点で成功者と考えてそれ以降努力しない人はとても成功者にはなれません。
 では、かなりの会社や組織が成功していても消えてなくなるのはどうしてなのでしょうか。そのことについて語られている本もなければ記述もありません。誰もそんな暗い話を聞きたくないからです。
 100年続いて存在する大会社は何度も何度も社長を交代して、その都度その都度成功した社長の成功体験を改革していき、常にその企業に望まれているコンセプトを新しくしているからではないでしょうか。どんなに出来る経営者であっても長い間トップに君臨して成功体験を繰り返していくうちに、真実が見えなくなっていくのではないでしょうか。だから企業は程よいときにトップを変えて組織を新しくしていくことによって、現在のクライアントが望んでいることを的確にとらえていくのだと思います。
 医療の中で考えてみると、医学は常に進歩していきます。その進歩した薬や診断機器を出来る限り上手に利用することは一般的な進化なのですが、もう一つ患者さんは色々と多くの訴えをしてきて、それに応えることが出来るように常に自分の頭を柔軟に対応していくことが大切に思います。
 例えば薬が効かなかったと患者さんが訴えた時に、いやな顔をせずに自分が未熟であることを認識して、さらに何とかして治してあげることを考えることこそが衰弱を防ぐ因子の一つであるように思います。このことは今私自身が衰退しないために常に考えて診療していることです。結果は私が死ぬときにははっきりすると思います。
 つまり人間は成功に満足しておごった瞬間から衰退が始まってくると認識した方が良いと考えるべきなのです。理屈で左脳では理解しても、感覚として右脳で自分のものにする人はそんなにいないと思います。どうしても成功者はそれは自分ではないと考えがちなのです。
 栄枯盛衰が世の常であることをしっかりと理解して生きていくことはとても大切です。逆に今がどん底の人でも努力を重ねていけば比較的簡単に必ず良いことが待っていることも最後に付け加えておきます。