院長の独り言
Monologue

2017.11.30

ギックリ腰になって考えたこと

11月16日に久しぶりにギックリ腰になりました。その日は木曜日で休診日であったために安静にしていましたが、翌日の17日は患者さんも多くて大変な目に会いました。朝、看護師長に鍼治療をしてもらって痛み止めや漢方薬を飲んで、コルセットをして何とか診察を終えました。翌日の土曜日にはかなり軽快してきて何とか人間らしい歩きが出来るようになりましたが、日曜日に水戸で講演があって道中の乗り物も大変でしたし、1時間を2本の講演もコルセットのお陰で座ることなく無事に終えることが出来ました。次の週にはかなり良くはなっていましたが、勤労感謝の日に入っていた日星薬局のゴルフ・コンペは断って静養しました。それで完璧に1週間で痛みは私から去っていきました。
  ギックリ腰を鍼治療で治すのは私の得意技で多くの患者さんに1日で治すので感謝されるのですが、自分で鍼をすることは出来ませんので悔しい思いをしました。
  痛みが治ってから感じた事は、健康で痛みもなく苦しみもないことがどんだけ幸せかということです。あたり前の様に自分の足でしっかり歩けて、食事も食べることが出来て、話すことも考えることも出来ることがどんだけ幸せなことであるのかを、私達は時々感謝しなくてはいけません。
  将棋の谷川浩司9段が羽生善治名人が出現するまでの将棋界のホープであった訳ですが、羽生さんが出てきてからはどうしても勝てなくなり自分の将棋も忘れてしまいました。その時神戸に住んでいて阪神大震災が起こり、やっとの思いで神戸を脱出して、羽生さんとの名人戦の防衛戦を戦って勝つことが出来ました。その時に被災者であるので周囲の人は延期を勧めましたが、谷川さんは「将棋をさせることがいつもあたり前と思っていたが、震災にあってから将棋を指せることがことがとても幸せなことなんだと思って、一生懸命に集中して羽生さん将棋を指して勝つことが出来た。」
  その時の名人戦ではタイトルを防衛することは出来ましたが、やがて時の流れで名人位を羽生さんに譲ることにはなりました。しかし、谷川さんは自分の将棋にたいするスタンスを保つことが出来て、その後の将棋人生でも自信をもって指すことが出来ていることと思います。
  人それぞれ自分の能力には限りがあって、いくら努力しても出来ないことはあるし、勝てない相手も限りなくいます。人に負けたと思う時、何をやっても上手くいかないでスランプだと思う時、自分の人生はなんてだめなんだと考える時にふと考えて見てください。普通に運動が出来て食事も食べることが出来て、美味しい水を飲み綺麗な空気を吸える日本で暮らせることが出来るだけでも幸せだと思いませんか。人間は欲な動物で成功すればするほど上を望むものです。若い時期はそれでも良いと思いますが、年齢を重ねて自分の限界も見えてくると少し見方を変えて、明石家さんまの様に生きているだけでまるもうけという考えをしてみませんんか。さんまさんでさえ、お笑い界でトップを走っていても毎日毎日視聴者に感謝をしながら無欲で一生懸命にサービスをして、お笑いを通じて世の中を明るくしているのだと思います。だから結果として何時までたってもトップを走ることが出来るのだと思います。
  人間は大変な確率の中で生まれて来ています。宝くじに当たる以上の確率だと思います。そんな幸運の中でこの世に生まれて来ているのですから、人と戦うために相手を蹴落としたり、うらやんだりするのはやめませんか。自分の特徴があって自分にしか出来ないことは必ずあるはずです。日々の単調な暮らしの中でも生きていることの幸せを噛みしめながら少しだけ頑張って見ませんんか。そうすれば誰にでも自分なりの勝利は訪れるものですよ。