日本人の平衡感覚の長所短所
日本の長い歴史の中で、多くの日本人は他人との比較において社会が成り立っています。高度経済成長期においては隣の家に冷蔵庫や洗濯機、カラーテレビが購入されると、それに負けまいと頑張って働いてそれらを手に入れてきました。
また、江戸から昭和の初期の農村では地主を中心にして小作人が平等になるようにして、誰かが頭一つ抜けることのないように村の仕組みが成り立っていました。武士の世界では家の格式が代々保たれていて、何も失敗がなければ家の繁栄が上下することもありませんでした。たぶん、弥生の頃から日本人はおおむね現状に満足するように教育されていて、革命の少ない国であったと思います。
自分の同じ身分や格式の人の中で、あの人に負けたくないという反骨精神は持ち合わせていて、その比較において自分よりも上に行く人を快く思わなくて、自分よりも不幸になった人を随分と気の毒がって、助ける傾向にあります。例えば地震被害地などへの支援などです。しかし自分に被害が被りそうになるとその人達を避ける傾向にあります。
その日本人の気質によって安定的な社会(集団)は継続されて行くのですが、時としてその組織を守ろうとするあまり嘘の報告をしてしまいます。粉飾決算やリコール隠し、闇献金隠し、脱税などもろもろです。
世間を騒がしている大きな企業や政治家、有名人などはマスコミに叩けれますが、一般人はあまり叩けれることはありません。成功者として有名になったばかりに、自分や組織を守るべく嘘をついているのですがそこは許してくれません。
また、リークするのも日本人の得意芸で自分よりも美味しい目にあっている人や組織を羨ましくて、マスコミや役所などへのリークが多いのも日本です。
それで日本の規律がある程度保たれていて、安全で比較的平等で、欧米やイスラム系の国の様にテロや殺戮的な事件も少ないのだと思います。
この日本人の良く言えば平等、悪く言えばひがみ根性が私も含めた多くの日本人に備わっているのです。
この日本で出来るだけ平穏にしかもある程度豊かに過ごして行く方法は何なのでしょうか。勿論、自分の職場や家庭で出来るだけの努力をすることは第一条件なのですが、出来るだけ人から叩けれたり避けられたりすることのないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
私なりに考えて見ました。まずは万が一自分が考えているよりも事業が成功したり会社で出世した時には、何か判断する場面ではまずは自分が得をしないように考える癖をつけることをお勧めします。私で言えば自分が儲からないようにして患者さんになるべく金銭的な負担を少なくして、なおかつ信頼のおける医療のシステムを考えて見ることです。会社経営ではなるべく消費者の負担を軽くしてあげることです。職員には手当を厚くして、出来ればボランテイア的な活動を出来るだけしてみることです。したことにするような形式的なものではなくて、本当に人のためになることを自分でできる範囲で考えて見るのです。
もう一つは、余裕のある人はロータリークラブやライオンズクラブ、消防団活動、地域のボランテイア活動などのようなボランテイア的なサークルに何でもいいから入るのです。私もロータリーに入っていますが、そこでの仲間とのおつきあいは損得抜きのことが多くて、社会的地位の差別もなければ嫌な事は殆どなくて、日本人を閉鎖的な島国根性から救ってくれます。一見して事業には無駄に思えるのですが、これが知らず知らずの間に世間性を身に着けてくれて、人間のランクをあげてくれます。 ロータリークラブに真面目に出席している人に人間的に貧相な人はいません。自分の仕事や利益と関係のない世界で仲間を持つことは、自分自身を何時までも成長させてくれます。医者の世界や教員の世界、警察組織、銀行員、公務員、会社員など限られた空間で長年生活していると人間を歪めてしまって、人から疎まれたり人をうらやんだりと日本人の醜い面が強調されてくるのです。
是非とも広い視野を持って、出来るだけ世間の人のためになることを少しずつしてみませんか。そのことによって国際化が益々進んでいく日本で成功して、自分自身がさらに幸せになるのではないでしょうか。