院長の独り言
Monologue

2015.10.31

あなたはどのくらい人を利用しますか

人間には現役で働いている頃には2つの思想が占めていると思います。一つは自分も努力はするが出来るだけ周囲の人を利用してステップアップしようとする考え方です。多くの社長や教授など組織のトップに立っている人はとても上手に上司や部下を利用します。そうでないと同じくらいの力のライバルに勝てないからです。この思想の強い人がいわゆる出世街道に乗りやすく、勝馬に乗りたいといつも思っています。もし、部下が失敗をした時には平気で切り捨てる冷静さを持っています。部下が自分のために尽くすのは当たり前と思っていまが、表面上は部下にも気を使ったふりをします。
 一方で、もう一つの思想はあまり人に世話になることを好まずに、コツコツど努力を重ねて行くタイプです。もし、予期せずに人に世話になったりした時には何時までも義理堅く感謝の気持ちを忘れません。しかし、愛想がなく一見すると冷たい人の様に思われます。自分の人生をやりたいことをして生きていくことに生きがいを持っていますので、たとえ出世しなくても何も問題はないのですが、時として運良く世間の脚光を浴びることもあります。
 2つの思想は誰でも両方持ちあわせていて、そのバランスの大小でその人の特徴を出しているように思います。また、利用型のタイプは人を利用することに長けている反面、その分人に利用されて裏切られることも多くあります。利用した人に頼まれたら嫌とは言えない状況になってしまうからです。良い時は人が寄って来ますが、力を失うと去っていきます。
 よく義理人情と言いますが、その相手に返す義理はまだ利用価値のある相手だからあるもので、利用価値がなくなったらその人には近づかなるのが多くの人が持っている義理の考え方です。
 ならばそんな面倒な貸し借りはいらないので、自分の力でやっていけるやりたいことをやり、人に気を使うことなく自分の信念に従ってやってみようと考えて、突き抜けて出世したごく一部の人間がいます。小泉純一郎、京セラの稲盛和夫、セブンイレブンの鈴木敏文さんサッカーのプロリーグを作った川淵さんなどがそうなのでしょう。その人達は人に気を使って上昇していませんから何でもやりたいように出来ます。ですが、本人の努力たるや並大抵もものではなく、孤独感も相当なものでしょう。人に頼らなくても生きて行けるパワーは成功すればする程ほど身について来ます。人も集まって来ますが、それを利用しようとはしません。利用すると自分の信念を曲げなくてはいけないことが出てくるからです。
 そんな人達は別にして普通に生きている我々は、いくら強気でも多少は人に気を使ったり、人を利用したりは誰でもするものです。ただそのバランスが大切で、あまりにも人を利用する方に傾いていては人から慕われることはなくて、逆に人に利用されることも多くあり、力がなくなった時には悲惨なことになってしまいます。
 孤独にコツコツと人に気を使わずに仕事をするバランスの多い人は、亀の歩みの様にゆっくりではあっても、着実に力をつけて行きますが、時間切れ力及ばずの結果となることも多くあります。また、人のサポートがないので余程の力をつけないと陽の目を見ることはありません。
 みんなそれぞれに異なったそれぞれのバランスを持っていて、生涯そのバランスは変わることはありません。その自分のそれぞれのバランスがどの位になのかを認識して、利用することの多いタイプは悪い人に逆に利用されることのないように気をつけることが大切です。トントン拍子に出世して思わぬ落とし穴に落ちない様しましょう。また、コツコツ努力型は、無駄な努力にならないように方向性を間違わないようにしましょう。方向さえ間違わなければ、長い間努力すれば必ず何らかの結果は出るはずです。勇気を持って頑張りましょう。
 さて、あなたのバランスは何%、何%ですか。一度しかない人生ですから失敗が少なくなる様に、己を知ることがとても大切ですよ。