院長の独り言
Monologue

2024.1.28

青山学院原晋監督と阪神タイガースの岡田彰布監督が教えてくれたもの

今年の箱根駅伝は、大方の予想を覆して青山学院が優勝しました。2022年度の大学駅伝は駒沢大学が出雲駅伝、全日本駅伝、箱根駅伝を制して3冠になって、2023年度も駒沢が出雲駅伝、全日本駅伝と優勝して、その戦い方も王者の勝ち方をしていて、今年の箱根駅伝の優勝もほぼ確実と言われていました。

 青山学院は出雲も全日本も成績はさえず、12月の初旬に多くの選手がインフルエンザに罹患して練習ができなかったようです。そこで原晋監督が「負けてたまるか大作戦」というスローガンを掲げて、「2位でもいいから頑張ろう」と選手に言ったところ、選手たちが監督に2位でもいいからと言わせて良いのかと奮起して、それぞれが考えて自分自身の調子を上げていったようです。5km、10km、ハーフマラソンの記録の何一つ駒沢に勝てる要素はない中で、駒沢に大差で勝ちました。特に3区は駒沢のスター選手の佐藤選手を太田選手が抜いて差をつけて行ったのが勝因の一つでした。青山学院は誰一人スター選手がいなくて、補欠も含めて誰が走っても同じようなタイムを出すことが出来て、調子のよいものを使うようになっています。一方駒沢は将来の長距離界をリードしていくスター選手がいて、その一人がいつもなら勝っている選手に抜かれたのですからダメージは大きかったと思います。

 話変わって、昨年のプロ野球は阪神タイガースが日本一になりました。阪神にはホームラン王もいなければ、特別なスター選手はいません。打力も6球団中5位でした。岡田監督が就任して、特別なスターはいなくても各ポジションの選手が自分のできることを確実にやってくれれば優勝できると考えて、優勝という言葉を出すと選手が意識するので、「あれ」と言って選手たちをリラックスさせて、各選手にやる気を出させて、平均的に力をつけさせてきた様に思います。岡田監督は青山学院の原晋監督とよくにています。スター選手を作って特別扱いするのではなくて、誰にもチャンスがあってそれぞれが努力して力をつけていけば、おのずと勝利は転がり込んでくることを知っていると思います。

 日本のプロ野球は現在、大谷翔平を目指してこれからは、活躍したスターはどんどん大リーグに行くことが予想されます。日本のプロ野球が衰退すると考える人もいますが、私はそうは思いません。むしろ若い世代にどんどんチャンスが生まれて来て、もっともっとレベルが上がることと思っています。それは、青山学院の原監督や阪神の岡田監督が証明してくれています。

 組織が繁栄するために、一人のスター選手が引っ張るのではなくて、みんなが持ち場持ち場でやるべきことをやって、原晋監督や岡田監督のような指揮官のもとで、みんなが同じ方向に向うことが成功への第一条件ではないかと考えます。

 現在、日本人はいろいろな分野で自信を失っていますが、嘆くことはありません。日本人には青山学院駅伝部や阪神の様な勝ち方が、一番適しています。そのポイントにおいて、世界の人が日本人のことを最も尊敬してくれて、また恐れているポイントであると私は考えています。