院長の独り言
Monologue

2012.8.28

オリンピック団体競技における男女の違い

今月もロンドンオリンピックの団体競技の結果から見えてくる男女の特性の違いについて私の私見を述べてみます。
 図らずも先月の独り言で、女性は男性に比べてバランス感覚に優れていてみんなと協調して生きていくのが得意であると述べました。今回日本の団体競技で主に活躍したのは女子でした。サッカー、バレー、バトミントン、卓球、アーチェリーなどが初めてのメダルや28年ぶりのメダルなど日本団体女子の活躍は、自信喪失に陥っている多くの日本人を勇気づけてくれました。
 男子はもともとチームプレーが苦手なのです。スポーツに限らず、男子は自分が一番になりたいと考えていて、身近な人間が活躍したり成功したりすると嫉妬する生き物なのです。多くの競技でも団体では負けたいと考えている男子はいませんが、自分が活躍するという大前提があります。ではどうして男子はチームプレーが苦手かというと、男性ホルモンの一つのテストステロンが影響しているのです。テストステロンは自分が一番になりたいと自分の尻を叩くホルモンでドーピングの対象物質です。女性は男性の20分の1しか出ていません。女性には精巣がないので、テストステロンを卵巣で作っています。柔道で唯一金メダルをとった松本選手が試合前に般若のような怖い顔で気合を入れていたのは、自らテストステロンを無理やりだす努力をして闘争本能を高めていたのかもしれません。テストステロンは戦いのホルモンですから、出ている時は怖くて尖った人格になり、男性ホルモンですから性欲が増すことは言うまでもありません。オリンピックの期間中に陸上100mのオリンピック2連覇のボルトの女性からのもてぶりが週刊誌に掲載されていました。また、ゴルフのタイガー・ウッズの女性好きも数年前に問題になりましたが、あれだけの選手ですから当然テストステロンも人並み外れた量が出ていると思われますので納得できます。剣道の2年くらい前の全日本チャンピオンが16歳の少女に卑猥なことをメールで要求して逮捕されたのも同様です。狩りをしていた古来からの遺伝子の特性から体力に優れていて狩りの上手な英雄は色を好み、女性も生活力があってたくましい英雄を好むのです。私のように体力がなく剣道の試合で延長延長で体が辛くなると負けてもいいわと考え、勝ちたいと思う気力のない男性はとことんトップに上り詰めることも無ければ、若いころから女性にもてた経験もありません。平凡に大過なく過ごすことが出来たのはテストステロンが少ないためと思われます。男性ホルモンの観点からは、強くて優しい男性は存在しません。若い頃は強いか優しいかのどちらかです。しかし、テストステロンは年齢と共に減少してきます。北島康介の 12年間を振り返ってみると、最初のオリンピックのことはたくましくて尖った性格でしたが、今回は人間味のある良い人になっています。中学高校で悪いことをしていて要注意人物だった男性が会社を起こして成功して、年を取ってナイスミドルになっているのは、若い時代はテストステロンを目一杯出して人を押しのけてでも上昇して、加齢に伴ってテストステロンが減少して、丁度良いバランスになって人から尊敬されるようになるのです。その減少していくテストステロンのバランスの中で強くて優しい男性は誕生するのです。
 多くの成功した男性がテストステロンは多いはずなのに、事件を起こしてないのはなぜかというと、人間にはテストステロンなどの攻撃性のホルモンに対して、抑制的に働く大脳の扁桃体やセロトニンなどの脳内ホルモンが出てコントロールしているからなのです。人間の脳はまだ十分には解明されていませんが、本当によくできています。成功者と性犯罪者は男性ホルモンにおいては紙一重で、微妙なホルモンのバランスでどちらかに向かいます。細い道をこけずに歩むことが出来た人が成功者になるのです。
 それに対して女子は概ねみんなで活躍したいと本当に思っています。バレーの韓国戦で活躍した迫田が自分がぎりぎりのメンバー当選ラインで、その下のメンバーから外れた石田のユニホームを自分のユニホームの下に着て、石田が乗り移って二人の力でスパイクしているのではないかと思わせる活躍でした。体力のないことをみんなで欠点をカバーしてみんなで苦しい思いも分かちあって、何十センチも身長の高い外国の選手にと戦って銅メダルをとることが出来たのです。選手の活躍にあえて優劣をつけるとしたら女子バレーが最も価値のあるメダルだと私は考えます。このように女子は自分の力が主で勝つのではなく、みんなの力で勝ちたいのです。水泳で男子も400mメドレーリレーで団体銀メダルを取りましたが、水泳は男女を一緒にしたチームを結成してみんなの力で個人の能力の底上げをして、メダルを沢山とることを洗脳したコーチ陣の戦略が上手くいきました。それも男子ばかりでなく女子も絡んだので、男子は女子につられてチームプレーの精神が出来たのです。男子メドレーリレーで北島康介を手ぶらで帰らす訳にはいかないと思ったのは男子各選手が成長した結果です。
 体重別の柔道は日本人は対等に戦って良いと思いますが、今回は単なる努力不足が原因でしょう。もっと筋トレなどをしっかり行なって次のオリンピックでは巻き返してくれるでしょう。内村航平が男子団体で苦労したのはテストステロンが出すぎて力が入ってバランスを崩したのです。個人総合ではちゃんと修正して金メダルを取りました。人並み外れた努力の積み重ねによる金メダルと考えます。
 だらだらとオリンピックの私なりの総括をして見たのは、このオリンピックの男女の選手の活躍にこそ、日本人が苦しんでいるデフレ、高齢化社会、低成長、国の借金、震災対応、原発問題などを解決するヒントがあると考えます。日本人は体力知力共に平凡な民族です。これは島国で他国の遺伝子が入ってないからです。なのに衰えたとはいえ、個人の一人あたりのGDPはアメリカについで世界第二位です。日本人は世界有数の勤勉な民族で、しかも農耕民族なのでチームを形成してチームワークでここまで上り詰めたのです。最近少し日本人が努力を疎かにしていて、高齢化も手伝って国力が落ちてきているのです。でも、良いことが一つあります。女性が少しづつ社会進出して、女性の地位が少しづつですが向上しつつあります。そこでオリンピックで日本人女性が活躍したように、女性のチームワークの力や、バランス感覚の能力をもっともっと伸ばして行く以外に日本が生き残れる道はありません。すべての重要な組織に地に足のついた女性を配置して、マンネリ化した男性社会の議論を大きく転換して、日本女子がオリンピックで見せてくれたように、自分のためではなくチームのための施策を各組織でどんどん打ち出して行くのです。そうすれば水泳男子でも証明されたように男性もつられて良い方向に導かれると考えます。