院長の独り言
Monologue

2009.8.16

甲子園のアルプススタンド

13日からの盆休みも14日だけ日帰りで墓参りに行っただけで、だらだらと過ごして終わりそうですす。甲子園で高校野球が行われているので、昼間はほとんど見ていました。昨日は島根代表の立正大しょう南高校が0対0で向かえた9回裏の攻撃でサヨナラホームランで勝つことができて、私は大変な興奮状態でした。島根の代表を応援したり、WBCやオリンピックで日本チームを応援するのは我が家では私と長女だけで、妻と長男はそれは良かったねという程度です。郷土や国のことを人一倍応援する私の遺伝子は長女に行ったようです。長男は性格的に陽性で、おもしろいことを言ったり、先生に対して筋を通して逆らって損をしたりするところは私にそっくりなのですが、郷土愛や愛国心ではなくグローバル精神の強い遺伝子は妻から行ったようです。長女は家内に似て内弁慶で外面がよくて、友達にはいつもペコペコしてはっきりイエスノーが言えない性格なのに、変な義侠心だけは私に似ています。当然の結果として、高校野球で島根代表校を応援していたのは私と長女だけでした。
 話はがらりと変わりますが、高校野球を見ていていつも思うことがあります。それはアルプススタンドで補欠にもなれない3年生がチームを一生懸命応援している姿に感動して涙がでます。野球部員は名門であれば100人近くいて、ベンチに入れる選手は18名です。3年間すべてを犠牲にして厳しい野球の練習をやってきて、補欠になれる選手はまだ良い方で多くの選手はアルプススタンドで一生懸命応援するのです。私はだいたい弱いチームで負けている方を応援します。強いチームから1点でも取らせてやりたいと願って応援します。そしてアルプススタンドの選手の一所懸命さでそのチームの精神性が分かることもあります。勝ち負けはやはり素質のある選手がいるチームが有利なのですが、時に番狂わせがあるのはアルプススタンドで応援している選手の質が反映されていると思えてくるのです。また、最終回が近くなって負けていて代打や代走をどんどん使ってできるだけ多くの選手に甲子園での1プレーを経験させる監督は偉いと思います。誰しも試合には勝ちたいのですが、人生は長くその試合で負けたくらいでくよくよすることはありません。甲子園で出場できただけでも幸運で、まして例え代走であっても試合にでれただけでも、アルプススタンドでベンチにも入れないで応援している選手に比べたら何と運の良いことか。もっと言えば県予選で敗退したチームの補欠にもなれなかった選手よりは甲子園のアルプススタンドで応援できた選手の方がはるかに幸運なことが分かります。人間上を見ればきりがなく、下を見てもきりがありません。一つだけ言えるのはこれが人生の最終的な勝負ではないと云うことです。アルプススタンドで一生懸命応援している選手に言ってあげたいです。「どんなにつまらないと思う仕事でも、こんな気持ちで手を抜かずにやれば、最後は君が人生の甲子園で勝利することができます。チャンスはまた必ず来ます」と。毎年毎年夏の甲子園で試合を見ていると彼らが私に初心を思い出させてくれます。だから夏の甲子園の高校野球は仕事以外の時間はだいたい一人で涙しながら見ています。
 明日からまた仕事が始まります。甲子園アルプススタンド球児に負けないように頑張ります。