院長の独り言
Monologue

2022.10.30

明治大学野球部元監督 故島岡吉郎の教え

 先日プロ野球ドラフト会議がありましたが、プロ野球に最も沢山の選手を送り出した大学は明治大学で147人の明治大学出身のプロ野球選手誕生しています。現在も22名の現役選手がいて、13年連続で現在もドラフトでプロ野球から指名されています。

 過去から星野仙一、高田繁、鹿取義隆、平田勝男、広澤克実、武田一浩、川上憲伸などが有名でありますが、現在では昨日日本シリーズで活躍したオリックスの山﨑福也、阪神の糸原健斗と坂本誠志郎、DNAの伊勢大夢と佐野恵太、入江大生、広島の森下、野村祐輔、中日の柳裕也、ヤクルトの丸山和郁など多くの選手が活躍しています。しかも多くの選手が大スターではなくて、地味に活躍して引退後は多くが監督やコーチなどの指導者になっています。

 明治大学野球部の強さは人間力と言われていて、プロになっても縁の下の力持ち的な選手が多くて、スター選手は多くありません。早稲田大学慶應大学に比べて甲子園のスター選手は明治には入らずに、地味な選手を自己犠牲のできる辛抱強い選手に鍛え上げるのです。

 その人間力明治の基礎を築いたのが有名な島岡吉郎です。明治大学野球部寮のトイレ掃除は1年生ではなくて4年生が模範となって手で便器をきれいにしています。星野仙一が掃除をさぼった時に、監督が星野にトイレに連れて行って自ら手で便器をきれいにして舐めて見せたそうです。星野はそれ以来島岡にはかなわないと思ったそうです。後ろ向きな選手は有名選手でもベンチから外して、地味な役割を担っている選手に光を当てて、全ての選手の就職も自ら企業に出向いて頼んだそうです。しかも必ず補欠の選手を優先していました。ヤクルトで活躍して広澤克実に「でかい顔をするな。ここはプロの養成所ではないんだ。ちゃんと教育をして社会に人材を派遣する場所なんだ」と言って、有名選手が天狗にならないように教育していました。エラーをしたり四球を出したりすると鉄拳制裁が飛んできたようですが、選手が活躍して勝った時は、ファミリーレストランに全員を連れていって食事をごちそうしていて、飴と鞭の使い方が絶妙であったようです。選手たちは社会生活に必要な人間力を養い、どんな理不尽なことにも耐えることのできる胆力を身に着けていきました。監督の命日には多くの教え子が今でも墓参りに行くようです。

 現代の日本社会で鉄拳制裁は問題になりますし決して良いことではありませんが、そこを問題にし過ぎて民主化、働き方改革、平等、ゆとり教育など耳障りの良いことばかりにとらわれ過ぎていて、日本人の根性や大和魂や粘りなど私たちの祖先が築いてくれた日本人の長所が失われている様な気がしているのは私だけでしょうか。日本の国力が落ちて来ていて日本が貧しくなっていることと無関係ではないような気がしています。昭和に戻ることは出来ませんが、島岡吉郎の死後も伝統を守って結果を出している明治大学野球部を参考にしてみる価値はあると考えます。