院長の独り言
Monologue

2022.9.26

コロン。長い間ありがとう。

 我が家はチワワ3匹と柴犬1匹の犬と一緒に生活をしていました。その中の最長老の雄チワワのコロンが9月2日に天国に旅立ちました。コロンは16歳の超高齢犬でしたので年齢には不足はありませんが、コロンが家族に与えてくれた影響は多大なるものでした。特に二人の子供たちはコロンに大変お世話になりました。

 長男が中3で長女が小6の時にコロンと妹のポッキーが我が家にやってきました。二人の子供は2匹をとても可愛がり、長男が高校生になって大学受験に向かう際には、コロンとポッキーに大変癒されていました。10年くらい前にコロンが予防注射の副作用で溶血性貧血になって死にそうになった時には、長男は医学部の授業の合間に動物病院に入院中のコロンに会いに帰ってきました。そこでお別れをするつもりでしたが、獣医さんの飼っている大型犬からの輸血で奇跡的に助かりました。

 長女は特別コロンを可愛がっていて、高校受験と大学受験の際にはどんだけコロンのお陰で精神のアンバランスを克服したことでしょうか。コロンはとても頭が良くて、長女が薬学部を卒業して、3年半前に島根に帰って来て大学病院に勤務する際に、早朝に必ず長女を起こしに部屋に行って、目を覚ますまで顔をなでたりおなかに乗ったりして完全に起きるまで帰ってきませんでした。。

 また運動神経もすごくて小さな体なのに、椅子を利用して背の高いテーブルに上がってみんなに内緒でお菓子を食べていました。机の上の妻の鞄の中にあるお菓子も食べてきちんと元通りにしておいたので、私が食べたと疑われたこともありました。コロンが怖がっていた柴犬のさくらに偶然に廊下で出くわした時には、忍者のように置物の様に固まって難を逃れていました。私の部屋に入っていたずらしていた時に、偶然私が部屋に入った時にも、私に怒られないように同じように置物に化けるやり方を行って笑わせてくれました。

 我が家の犬達はほぼ人間と同じように扱われているので、芸は何も仕込んでいなくて何もできません。芸を仕込むのは動物虐待になるとの妻の考え方からなのです。何もできなくてもよい、ただ我々家族と暮らしてくれるだけで良かったのです。

 そんなコロンも今年の初めくらいから弱ってきて、動物病院で腎不全を指摘されました。数か月前から食欲もなくなって元気がなくなってきました。そこで私は漢方薬を飲ませてみたところ、元気になって食欲も出てきて腎臓機能も少し軽快しました。そこから数か月が経過した8月下旬から少し弱ってきて、9月1日の夕方に意識が障害されて、心音を聴診器で聴いたところ、不整脈から徐脈になっていよいよ心臓が止まりそうになったので、娘がちょうど大学病院の当直でいなかったので、私は必死に2本の指で心臓マッサージを行ったところ生き返って意識が戻って立ち上がりました。その夜妻はコロンの隣に寝て観察して、娘が帰る翌朝まで元気でいてくれました。2日土曜日の午後に私と妻と娘に見送られて夕方に旅立ちました。私たちは涙が止まりませんでしたが、天寿を全うするまで家族として共に過ごしてくれたコロンをこれ以上苦しめることは良しとしません。翌日火葬をして、お骨はテレビの横に今でもおいてあります。神奈川にいる長男から供養の生花が届きました。

 コロンは私たちに多くのことを教えてくれました。「自分は犬であるが決してあなたたちのしもべではありませんよ。ですからくだらない芸は何もしませんが、家族が困っている時には力を貸しますよ。長い間、下手家に来て幸せでした。それから、お父さんが最後に出してくれた漢方薬は効果がありましたよ。特に腎臓には大変良くて、食欲も出てきましたよ。これから人間にだけ漢方薬を出して治療するのではなくて、犬や猫にも漢方薬の入った餌でも作って、犬や猫の業界に貢献してください。もう長女の葉月を朝起こすことは出来ないので、妹のポッキーとチーが起こしに行った時には速やかに起きてください。それからお父さんはあまり無理をしないでください。今、あなたが倒れると下手家は大変なことになりますよ。最後の心臓マッサージで寿命が一日延びて、最後に葉月に合わせてくれてありがとう。」とコロンが語りかけてくれた気がしています。コロンという犬達のリーダーがいなくなって、残された犬達はしばらく司令塔を失って生気がないような感じがします。

 コロン。16年間私たちを支えてくれてありがとう。これからは天国で私たちを見守ってください。安らかにお眠りください。