院長の独り言
Monologue

2021.1.27

年頭にあたって

新年あけましておめでとうございます。
新型コロナの3波もピークを超えましたね。マスコミはまだ多いと騒いでいますが、パンデミックの際には患者数は倍々になってくるのが普通なので、今の状態は完全に治まって来たと考えられます。また、毎年この時期にインフルエンザの流行が治まって来るのは、乾燥と寒さが弱まって来るからなので、そのことからも今回の流行の波は下火に向かうことでしょう。緊急事態宣言やGO TOの中止はあまり効果がなかったと考えます。マスクをして手洗いを行っていても感染が増大するのは自然の流れであり、来る時が来れば自然と治まってくるものなのです。最も悪いのは視聴率を上げるためにあおるマスコミではないでしょうか。感染が治まってくるとワクチンの副作用が怖いとあおります。予防注射はある一定の確率で副作用が出ます。今までインフルエンザなどの予防注射で副作用が出た人はやめた方が良いと思いますが、特に何も問題なかった人は受けた方がメリットが大きいと思います。
 さて、コロナの話はこれくらいにして、新年の新たな話をさせて頂きます。今年の正月も箱根駅伝を見ていました。前半戦で青山学院が12位と出遅れてしまいました。この1年間キャプテンとしてコロナ禍でみんなを引っ張ってきた神林君が仙骨の疲労骨折を起こして走れなかったことや、昨年5区の山登りでブレーキとなった竹石が1年留年して再起をはかった今年も活躍出来なかったことなどが主な原因であったと考えられます。神林君も竹石君も今回を最後に陸上から引退するとのことです。悔しい気持ちは本当によくわかりますが、原監督の選手を思う気持ちも素晴らしいと思いました。今回の駅伝で予選落ちをしても良いから神林を走らせようとして神林にさとされて断念したとのことでした。また、過去2回も5区の山登りで活躍出来なかった竹石を再チャレンジのためにもう一度5区に起用する勇気に対して教育者としての大きな器を感じました。勝つことだけでなく教え子の将来を考えての決断であったことでしょう。だから、監督の思いが選手に通じて復路で優勝して、総合でも奇跡的に4位に挽回出来たのではないでしょうか。
  この世の中に組織を思い通りに動かせるトップは誰一人としていないと私は考えます。雇われ院長を2度経験して、今は従業員15人の小さな組織のトップでいますが、全ての職員を思い通りに動かすことはできません。だったらせめて職員の本当の幸せを願ってトップが行動をして、後は職員一人一人に考えて行動してもらう。このやり方を私も原監督も考えているのではないかと思います。大事なところで走れなかった神林君、箱根で一度も監督の期待に応えられなかった竹石君、くよくよすることはありません。人生はまだまだ長いのです。この逆境をマイナスにとらえずに、自分を反省するパワーに変えませんか。自分の境遇にくよくよして人をねたむのではなく、失敗した原因を探って次の人生に生かしませんか。私自身も30歳までは何も良いことがなくて、自分を卑下して生きてきました。高校時代の同級生に会うと何でお前がこんなに出世するんだと首をかしげられます。31歳から現在の61歳まで常に自分を反省して疑って生きてきたお陰で、次々にアイデアが浮かんできます。失敗こそ自分の栄養源であると考えられるようになってきました。今でも遠くから治すのが難しい患者さんが来院されると過去の自分の失敗を省みて、新しい未来のパワーを出していくことが出来るようになりました。そのことは論文や教科書にはそのヒントも書いてなくて、自分がこの患者さんの難しい病態を治したい一心で集中することで、新しい漢方薬の処方が生み出されます。記憶力は衰えてきますが元々それほど記憶が優れていたわけではないので、創造する力でもう少し頑張ってみるつもりです。
   どんなことでも自分の好きな分野で道を究めていきましょう。コロナ禍でみんなが苦しいのです。この苦しみをどうやって克服するか一生懸命にあきらめずに考えましょう。考えれば必ず良い答えが見つかるものです。青学の原監督の教育はも選手一人一人にどうして失敗したのか考えさせる。そしてどの世界に行っても通じる足腰の強い人間を育てるのが彼の指導ではないかと考えます。根っこから人間を変えて強い人間をつくる原監督と、根っこから体質改善をして病気に打ち勝つ体質を作る私の漢方薬には相通じるものを感じます。
   今年もよろしくお願いします。