院長の独り言
Monologue

2020.11.19

現在の主な問題は風評被害

まず最初に新型コロナウイルス感染についてコメントをしておきます。本日の新感染者が東京で500を超えて急に増加する傾向にあります。これはどういうことか私なりの独断的な考えを述べてみます。8月から始まったGo to トラベルが原因ではないかと日本医師会は言っていますが、私はそうは思いません。日本人は十分にマスクを装着しているし手洗いもやっています。ではなぜこの時期に増えるのかというと、まずはウイルスがさらに重症化を少なくして移りやすく変異しているのではないかと考えます。最近では重症化率も減ってきて、死亡者も減っています。ウイルスも種を残そうと必死で変異していて、なるべく人間が死なない様に、さらに移りやすくなるようになっていることが考えられます。また、季節も湿度が減って気温も下がって来ていてウイルスが感染を広げていくには好条件になっています。益々、ただの重症な風邪に近づいてきているのではないでしょうか。国も東京都もそのことがわかっているらしく、Go to トラベルをとめることは考えてないようです。今まで通りにマスクをつけて手洗いを行って、出来れば葛根湯を内服していただければ、少なくても軽症の感染ですむと思っています。最も問題なのは風評被害で、これから逃れるにはワクチンの接種しかありません。現在ファイザーなど2社でワクチンの申請がアメリカで行われていて、来年早くには我々も接種することが出来そうなので、そこまで何としても経済を止めずに必死に頑張っていくしかありません。
  人類は過去に悲しい世界戦争を経験しています。その度に世界は変化してきて、科学も医学も進歩してきました。今まさに世界中がウイルスとの戦争をしているようなものです。私は戦争を知らずに平和な時代を過ごしてきました。この新型コロナウイルスとの戦争を経験して、今味わっている苦しみ悲しみなど全ての切ない経験が、必ず未来の良き財産になると信じています。
  現在進行している最低限の社会活動が、日本人が生きていく上での基本の生活であり、この行動はパンデミックになった時の社会の基本行為であることを認知していれば怖いものはなくなります。また、古今東西、流行性の病において最も怖いのは風評被害であることを知っておく必要があります。誰しも移りたくて病をもらったのではなくて、不幸にして病をもらった人に対して差別をなくしていくことが、地球上で最も高等動物である人間が、さらに格式をもった人格者となっていくチャンスではないでしょうか。医療従事者にはその覚悟があるので人から尊敬されるのかもしれません。医療従事者は新型コロナウイルス以外にも多くの移りうる感染の中で日々働いています。熱のある人にもない人にも同じように接して消毒をして、全ての患者さんが感染者ではないかと疑って行動しています。実際の新型コロナウイルスはさほど恐くありませんが、もし自分のクリニックで感染が見つかった時の風評被害が最も怖いのです。
  それから、インフルエンザの同時の流行が懸念されていて、今年はワクチンを受けた人が普段よりも多くて、当院でもすでにワクチン接種は終了しました。しかし今年はインフルエンザの流行はほとんど問題なしと考えます。それはウイルス干渉といって、一つのウイルスが大流行すると他のウイルスは縄張りがなくて流行できないとウイルスの専門家が言っていて、その通りででコロナ禍において他のウイルス疾患はほとんど流行せずにいて、それで小児科クリニックの患者数が激減しています。インフルエンザ1000万人が毎年罹患して、インフルエンザのの直接死亡数が約6000人前後で、、基礎疾患がある人で間接的にインフルエンザが原因で死亡される方が約4000人位で、合わせて1万人がインフルエンザで死亡します。もし、今回インフルエンザ死亡が激減して、コロナでの死亡が例えば数千人いたとしても、普段の年よりはウイルス感染による死亡数が少ないことになります。正式な統計は出ていませんが、今年の感染症関連の死亡数は例年よりも少ないというデータが出た時には、我々はどのように考えればよいのでしょうか。インフルエンザによる死亡率が0.1%で、新型コロナウイルスによる死亡率が現在のところ1.5%という数字は出ていて、治療薬とワクチンが十分でない差はありますが、インフルエンザでの激烈な死亡を経験している医師にとっては両方ともに、人によっては同じくらいの怖さでではないかと考えます。
  近くで新型コロナウイルス感染者が出現しても、マスクや手洗いなど出来ることを全て行って、ウイルスが去っていくのを待ちませんか。社会生活を全てとめるわけにはいきません。そのうちにワクチンという救世主が出てくるまで。