院長の独り言
Monologue

2006.2.21

陰と陽について

自然界には陰と陽の二つの対極が必ずあります。たとえば太陽は陽で月はは陰です。昼は陽で夜は陰、春夏は陽で秋冬は陰、天が陽で地が陰などです。山陽と山陰もそのように命名されています。陽は明るくてエネルギーが上昇気流にあり陰は暗くて下降気流にあります。自然界は陰陽のバランスにより成り立っています。人間関係も明るくて体力のある陽の人ばかりが集まると、一時的には大きな仕事ができますが、やがて喧嘩になり組織は崩壊します。逆に陰の人ばかりだと、暗くて後ろ向きの意見ばかり出て物事は前に進みません。陰と陽のバランスが良いと相性の良い人間関係になります。恋人や夫婦もうまくいくパターンは、陰性の人間と陽性の人間の組み合わせによる時です。別れたりするのは陰と陰、陽と陽の組み合わせの事が多いように思います。女優と男性俳優が結婚して離婚することが多いのはそのためのように思います。
 人間の健康を漢方的に考えると陰の患者さんは体を暖める食事や漢方薬を摂取し、陽の患者さんは体を冷ます食事や漢方薬を摂取すると体調がよくなります。漢方薬を処方する時に、最も大切な概念が陰と陽の見極めです。普段冷え性で低体温の人がインフルエンザに罹患して37.5度の発熱でもとてもつらい思いをする時があるのは、相対的な陰陽の変化を考えればうなずけます。
 漢方薬を長く使っていると絶対的な数値よりもその人にとっての相対的な変化を見てあげることが大切だとわかってきます。特に女性は相対的な比較を得意としています。男性は絶対評価を得意とします。何十年も暮らしてきた妻が夫の「この何不自由のない生活に何の不満があるのか」というような横暴な絶対評価を許せなくなり、熟年離婚に踏み切るのはそのためと思います。これからは妻の微妙な変化もできるだけ読み取り、女性の心理を一生懸命考える男が出世する時代になるように思えます。このように言っている小生も一生懸命考えても妻の心理を読み取れないで怒られることは時々あります。