院長の独り言
Monologue

2015.5.31

柳は緑花は紅

漢方薬で治療を行っていると色々な人が来院されます。痩せたい人、太りたい人、冷え性の人、暑がりの人、うつ気味の人、躁状態の人など千差万別で人間とはかくも様々な人がいるものだなと勉強になります。漢方の治療目標はその症状をなるべく中庸に近づけることです。決して反対の体質や性格に変えることは出来ません。人間は持って生まれた親からもらった遺伝子を変えることは出来ません。ほんの1~2割を環境や治療で変えることができる程度なのです。ということはもって生まれた遺伝子を大切に思い、その中で自分が進むべき道を自分で探ることが大切と考えます。
 何でもチャレンジしてみて失敗を重ねて、どうしたら上手くいくのかを自分で考えて、最後に勝てば良いのです。答えは自分自身の中に大抵はあります。私が患者さんを治すのに心がけることは、患者さん自身に治療法の大切さを気づかせることです。私は説明はしますが、その中で患者さん自身が答えを見つけることが出来れば治療は成功したも同じなのです。
 私は毎月千葉の寺澤先生と最近では寺澤先生の弟子の女子医大の伊藤教授の外来も見学に行って勉強していますが、そこで得た知識は参考にはしますが、決して全く同じやり方はしません。しても上手く行きません。なぜなら寺澤先生と伊藤先生と私も同門で同じやり方ではありますが、それぞれの遺伝子が異なるので患者さんから受ける感覚が異なるからです。
 生きていく中にも成功の答えは自分自身の中にあり、自分で見つけることが最も大切なのです。創業して1代で成功したほとんど全ての人は、自分自身の遺伝子を信じてその特徴を活かして、自分自身で考えて失敗しても失敗してもひつこく努力して、答えを自分自身で見つけています。大塚家具の経営権を巡って娘と父親が親子で争い、新しい感覚の娘が株主から選ばれていましたが、それは創業者の考えが古くなり時代にそぐわなくなって来たので、その自然の流れで娘が選ばれただけだと思います。半世紀も経過すればその会社も新しい経営感覚になるのが普通だと思います。ですから上場企業においては創業家は経営から撤退して新しい感覚を持った優秀な人が社長になるのです。
 「柳は緑花は紅」という言葉がありますが、どうやってもなるようになって行くのですが、自分自身の中に成功の答えを見つけようと努力して、自分自身の持って生まれた遺伝子の特徴を活かした人が勝利するのではないかと考えます。
 要は先祖から受け継いだ遺伝子を大切にして、あまり人をうらやんだりさげすんだりすることなく、自分の特徴を活かしきることが大切なのですね。一日一日現在の自分に出来ることをこつこつとやることが、自分なりの成功への最大の近道ということなのですね。