「海賊とよばれた男」に学ぶ
今、全国の書店で人気ナンバー1になっている本で、百田尚樹の「海賊とよばれた男」があります。私も何気なく買って読みました。ここ最近でこんなにも感動したことはありませんでした。
この主人公は出光興産の創始者の出光佐三がモデルになっていて、ほとんどが実話のようです。現在の神戸大学を卒業後大手の商社に就職できたのに、同級生に馬鹿にされながら、従業員3人の小さな商店に就職して、そこで商売のイロハを学びました。ある時日田という資産家に出会い、6千円(当時の価値で1億円)をもらいました。中間搾取をしない信義に厚い商売をするという初志を貫き、家族と仲良く暮らすことを条件を付けられました。大正昭和の戦前にかけて、アメリカなどの外圧にもめげずに、国民に石油を安く安定して売ることに専念して、大きな会社に成長しましたが、戦争によって全てを失いました。60歳で終戦を迎えた時には満州や中国、東南アジアの店を全て失い、日本には石油も入らない中で、多くの企業が職員を首にする中、左三は職員は家族だから首にするわけにはいかないと言って、財産を全てなげうって職員に給与を払い続けました。
戦後、アメリカが日本の石油市場を独占しようと企んで、GHQや石油連盟、官僚などを巻き込んで撃ってくる手にことごとく逆らって、大変な目にあっても日本国民がアメリカから独立した産業を勝ち取るために、最後までアメリカの軍門に下らずに孤軍奮闘しておりました。
出光興産という会社は職員は家族であるとの考えから、新人時代から家族の様に教えてみんなが会社への愛着を持つようになっていき、最強の軍団を作っていったのでした。会社と従業員には信頼関係がしっかりあるので、組合、出勤簿、就業規則などの決め事は無用でした。
左三の晩年に、イランが英国から石油採掘施設を独立させて、世界中がイランに経済制裁を行って、石油の値段がつり上がって行った時も、自前のタンカーをイランに派遣して、イランを助けると同時に日本の消費者を守るために、英国の海軍の網をくぐり抜けて命がけで、石油を日本に運んだのです。
出光左三は、最初に日田さんに約束したように、自分の利益のためではなく、日本人や職員のためにどんな妨害にもめげずに初志を貫き通した人なのです。
現代の日本の経営者の対角にいるような人です。日本人の悪いところは、世間の情勢に流されやすく、強いものにまかれる傾向はあります。戦中は軍人を英雄と崇め、戦争が終わってGHQから軍人は極悪非道な人間だと植え込まれると、同じ人を今度は村八分にしてしまいます。そこに何の信念もありません。マスコミはその最たるものです。
もっと日本人として誇りを持って、時には辛いことがあっても、自分の信じた道を歩み続けることが大切だなと、この本を読むと感じます。また、今までの実績におぼれることなく、常に新機軸を出していくことが大切であると気づかせてくれます。
また、家族や職員こそが財産で、その教育には最大のエネルギーを費やすべきだということも、現代のリーダーに教えてくれます。
多くの人のためになる仕事をし続けるという、私の永遠のテーマに沿った小説でした。
まだ、読んでない方は是非、「海賊とよばれた男」を買って読んでください。自分の中で何かが変わりますよ。